袋小路の男

  絲山秋子の袋小路の男を読んだ。ネタバレ有り。

  小田切ダメ男だよ、小田切。でもこういう男好きだったんだよなぁ。核心を言わないので深読みして、愛されてると思い込んでた。でもこういう男とずっと居ても未来なんかない。急に好きな女が出来て振られるのだ。恐ろしい。その恐怖をも凌駕する愛でしか勝てない。日向子は正にそんな深い深い愛を持ってたのかもしれない。だって触れられない男なのに。正直好きな人に触れられないなんて考えられないし、近くにいるのに結ばれないなんて気が狂う。それでも側に居られれば良いけど、隣でヤキモキしなきゃならん。でも結ばれないなくとも、お互い強い信頼関係で結ばれてるっていうのは、ある意味幸せなのかもしれない。2人はある意味新しい関係なのかもしれない。

  日向子は好きな男がいながら、他の男と寝る。それを一途じゃないし不純だと言う人もいる。でも明らかにほぼ結ばれないとわかってる1人の男を思い続けるって根気がいるし、そりゃたまには浮気もしたくなろう。聖人君子じゃあるまいし。見方を変えれば、盲目的に小田切を好きなまま来てしまって、だらだらと続き、単に依存しているだけにしか見えないとも言えるけど。しかし勘違いだろうがなんだろうが、そこまで小田切を好きでずっと居られるってある意味理想だと思う。それに小田切は小田切で、どうせ帰ってくるって分かりきってる所が、2人の絆を感じさせたり、惚れられてる方の余裕に思える。とは言え思い込みがなければ、一生を棒にふるだけの関係を続けられるわけもない。

  アーリオオーリオは星に興味がないので読むのに苦労したというか、斜め読みした。姪との交流が主題だとしても読み辛かった。そして半端な所で終わったので、あれは何を意味してるのかわからない。絲山秋子っぽくない作品に思えた。だってもっと人物同士を掘り下げてくる気がする。解説見たけど、解説がさっぱり解説の役割果たしてなくて、小難しい言葉で捏ねただけで、腹立った。どこが解説だ。アーリオオーリオのラストに関して解説をしろ。

  まぁオンリートークが1番合ってたんだよね。次こそ壊れたキャラ見たいよ。

袋小路の男 (講談社文庫)