廃園跡地

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ほかに誰がいる


  朝倉かすみ、ほかに誰がいる、を読破した。所謂メンヘラ小説に分類されてもおかしくない内容である。

  一目惚れした相手をひたすら想う、という小説だ。一目惚れしてる人、メンヘラ好きな人、驚く展開、見たい人オススメ。

  しかし最初は読むの苦痛だった。主人公のメンヘラがわざとらし過ぎて、文章も鼻についた。そして主人公がする事も、過去の恥ずかしい所業を目の当たりにさせられてる、何とも気持ちの悪いものだった。しかし少し頑張って踏み出せれば、人を選ぶであろうこの本のこのワールドにのめり込めるであろう。

  意外な展開から徐々に目が離せなくなる。中盤以降は一気読みである。

  ネタバレあるかもしれないので以下注意。主人公えりは狂っていたのだろうか。あたしは正気だったと感じている。正気であんな悪どい事をしたのだと思っている。所業は狂っていた。淡々とした文章だったからかもしれない。手段は誤っていたが、ここまで純粋に思い込んでしまうことがままあると言ったら引かれるか。分かる気がしてしまう。形はどうあれ、本人は願いを叶える為、手段を選ばなかった。手段は狂ってた。しかし斜め上をいっていた。でも彼女の願いはずっと一つだった。手段は兎も角、それで満足出来るならそれも一つの愛の形なのかもしれないと思うと否定出来ない。ある意味本懐をとげたのかもしれない。

  ラストなぜ悲しかったのかそれだけがわからないのである。えりはまだ居る気がする。そしてしぶとく次の作戦を練っている気がする。それを見たかった。


ほかに誰がいる (幻冬舎文庫)

ほかに誰がいる (幻冬舎文庫)