廃園跡地

言いたい事を言いたいまま!

血の話。

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  あたしは可愛くも美しくもないから、ずっと自分に自信がなかった。自分が女扱いされた記憶は薄いし、自分が女であるという証明はどこにもなかった。ただ、胸が膨らみ、経血を流すというだけだ。

  でもベッドの上で男性の前でだけは、女である証明が出来た。男性はあたしを愛でてくれたし、他の女さえいなければ、あたしはやっと、自分が女である事を感じられた。そうすることでしか、女である自分の存在を知れなかった。今は彼氏と出会い、彼氏がいつもあたしをちゃんと女性扱いしてくれる。

  それ以外で女であることを思い知らされるのはやっぱり生理の時だ。今日先輩から生理用のアイテムを貰った。それは優しい色で出来ていて、柔らかかった。それを手にした時、懐かしい感覚が蘇った。

  あれは、小学生の高学年の時。保健体育の授業。まだ生理を知らないあたし達に、生理になっても良いように、と、保健の先生がくれたポーチに入った何枚かのナプキン。あたしは家に帰って、それをお母さんに話した。女性の、男性には知られざる秘密の花園といった感じで、2人で密かに話したのを覚えてる。その時の母の声は、より一層優しかった様に思う。

  家には弟も居たので、知られぬよう引き出しの中へ閉まった。しまう前に、ポーチからナプキンを取り出し、開いた。ドキドキや好奇心、不安が入り混じっていた。生理とはどんな事なのか、知識はあれど感覚は分からない。可愛い絵柄の冊子も入っていて、それを読んだ。

  歳を重ねて生理になれれば、煩わしく思う。あたしの場合は重いので、腹部が痛く、体も重たく、なかなか動けない。反応が鈍くなる。仕方ない事だ。それでも不思議と、経血がどの程度出たか確認してしまう。たくさん出れば出るほど、憂鬱と面白さが入り混じる。あたしは血が好きなのかも知れない。

  先輩から生理用のアイテムを貰った時、あの小学生の時の、生理もまだ知らないけど、共有された女子の秘密と、可愛いアイテムに高揚した気持ちを思い出した。懐かしい感覚だった。新しいシャーペンや、ノートを買った時みたいな感覚。それがとても楽しかった。