廃園跡地

言いたい事を言いたいまま!

居心地が悪くて居心地が良い夜。


  久しぶりに夜出掛けてる。久しぶりにこんな時間に何処かへ行く電車に乗る。駅の燻んだ蛍光灯は暗い夜に目を覚まさせるように低く瞬く。電車が来る道、行く道。闇に続く線路。闇から来た電車がまた闇に飛び込んで行く。コンクリートの床を湿った様に照らす蛍光灯と闇に伸びていく肋骨の様な線路のコントラスト。夜はこれだと思う。あたしは別に夜働きたい訳じゃないんだ。夜の中を泳いでいたいだけだ。

  電車の中で若い劇団員が会話を交わす。大きな地声。とうとうと哲学的な事を語る。何故かあたしはそれを聞いている。焦燥感と嫉妬。何かを言えば受け止めてくれる人がいて、自分が好きな事をやれてる充足感。あたしにはそれがない。いつかは、何かを書きたいと思っているのに、何を書けばいいのかわからないでいる。書いてしまえば良いのに。甘えているだけだ。

  負け犬同士で人生とは何かなんて管を巻いている方が居心地が良いなんて、つくづくダメな奴だ。

居心地が悪くて居心地が良い夜。