廃園跡地

言いたい事を言いたいまま!

長崎旅行①


  三月の終わり、あたしは彼氏と長崎へ旅行した。

  暖かくなりかけていたけど、長袖をキャリーバッグに詰めた。海の上なら寒いかもしれないと思ったからだ。

  丁度ANAから格安ツアーが出てたので購入した。2人で行く旅行で飛行機は初めてだった。仙台に行くのでも、ツアーでなければ交通費往復で2万はかかるけど、今回は航空券、宿泊込みで4万程だ。春休みの旅行は安くて良い。

  ANAから届いた旅券を持ち、意気揚々と家を出た。春の暖かな陽気。ワクワクしていた。羽田なんて久しぶり。早めに行って、少しこじんまりとした国際線のターミナルの喫茶店でホットサンドを食べた。2人ともワクワクしていた。空港に着いたらすぐに荷物を預けて、掲示板で乗る飛行機の搭乗時間に荷物検査を受けた。時間になり飛行機に乗り込む。

  飛行機はソラシドエアで小さな飛行機だった。羽田の滑走路は大きい。飛行機が飛べる場所まで移動した。移動しただけなのに、飛ぶかもしれないと何度も思った。落ちるなんてことはないとは思うけど、ドキドキしていた。都内で交通事故に遭うより確率は低いハズだ。

  飛行機は轟音を立て走り出した。今度こそ飛行機が本気を出しているように思えた。飛ぶ!そう思い、体にGがかかるとふわりと飛んだ。陸がみるみる離れていく。風があるせいか揺れた。今あたしは飛んでいるのだ。でも落ちるかもしれないとか縁起でもない事を考えていたのに、あたしは笑っていた。揺れることはスリル満点だった。この2日後位にドイツの飛行機が墜落するのだけど…。

  空に舞い上がり、少し揺れると飛行機は安定して単調に空を駆け抜けた。きっとすごい速さで走っているのだろうけど、周りは雲だらけであった。そのうち眠くなってきたけど、眠れない。ずーっと外を眺めていた。あたし以外の乗客は、離陸からずっと興味が無いように眠っていた。

  確か2時間もせず長崎に着いた。あたしは着陸も好きなのだ。衝撃がドキドキする。長崎空港は更にこじんまりとしていた。オプションでレンタカーがあるので、レンタカーまで案内してもらった。車で走るとすぐ海が見えた。エメラルドブルーの海。胸が踊った。

  長崎空港の近くの街は余り活気がなかった。午後だった為、先に長崎市にあるホテルに向かう事にした。走ってるだけでは長崎だと判別がつかない道が続いたけど、都市部に出ると長崎っぽい道が開けた。長崎市は都会だった。旅行雑誌で見た通り、坂がとても多かったし、坂の上にたくさんの家が建ち並んでいた。東京とは違う景色。時折西洋の教会が芸術品の様にそびえ立っていた。長崎の街は夕陽に照らされ美しかった。

  ホテルの場所がわからなかった為、カーナビに住所を入力した。ナビ通りに車を進める。道はどんどん狭まり、路地や坂を登っていく。そのうち明らかに民家に入り込み、坂の上ついには行き止まりになってしまった。住所は正しかったけど、カーナビが古いのか目的地には辿り着けなかった。それどころか、狭い狭い坂の上の路地に追いやられ、ついには切り返しも出来ず、バックしようにも高低差があり、ガードレールにぶつかる様な場所になってしまった。右往左往していると、近所の方が出てきた。不審がっていたけど、事情を説明したら切り返しをさせてくれた。そりゃそうだ、ホテルは全く別の場所だったし、恥ずかしかった。2人は一瞬深刻になって緊張が走ったけど、過ぎ去ると彼氏は盛大に笑い始めた。恥ずかしさはあったけど、こういうのが思い出になるのかなとあたしも笑った。

  無事着いたホテルはやっぱり坂の上で、街の一角を眺める事が出来た。ホテル自体はランクが高くないので、ちょっと残念な感じではあったけど、航空券とセットの宿で大浴場と露天があるのはこのホテルだけだった。夕飯もないので市内まで走ってお刺身を食べた。