疲れた

  口に出して言えない事があった。あったというより、そういう考えをして、自分の不純さを知ったのだけど、しょうがない、生理的に気持ち悪かったんだもん。話したいけど、言葉に出したらいけない気がして、言えない。言葉に出なかった思考達はやがて、海の泡みたいに消えていくと思うけど。

  やっと独りになれた。親戚と長野へ出掛けたけど、相変わらず母親が子ども過ぎて、辟易して、折角の温泉なのに早く帰りたいなぁとずっと考えていた。彼氏の顔を思い浮かべて会いたくなる。家族でさえ居心地の悪い時がある。母親は険悪な空気に辟易したあたしに気づいたが如く、何でもない風にしかし棘が抜けない感じで話しかける。あたしは眠い振りをして冷たくあしらう。あたしが会話を再開させれば元に戻るかもしれないけど、そんな気分になれなかった。旅行に来てまで、子どもじみた真似をすることないのに。もう行きたくなくなる。早く朝になれば良いと思っていた。目覚めれば忘れてる。案の定忘れてた。

  疲れた。そのまま仕事へ向かう。まだゆっくり出来ない。彼氏から連絡がない。忙しいらしい。まだ日常に戻れない。家に帰らなければ、彼氏の顔を見なければ。