廃園跡地

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アナと雪の女王


  アナと雪の女王を観て。











  アナと雪の女王を観た。これ三月からロードショーしててまだやってたりするし、DVDももう出てるのだ。観る前に色んな時に評価も観て来た。人によれば、女の子の観る映画だとか、プリンセスものに回帰し、嫌らしい程女の子が好きな世界を作り上げているとか。とりあえずワクテカしながら観た。

  冒頭では男たちが夏の為に氷った湖から氷を切り分けるシーンがあるのだけど、この氷の美しさといったらない。ええっ、CGもここまできたのかとビックリした。今は映像がめちゃくちゃ綺麗やねぇ。

  子どものアナとエルサはとても可愛い。誤った事故で魔法が使えたエルサは、力が制御出来ないのを恐ろしく思い、閉じこもってしまう。エルサの希望だとしても、両親もちょっとそれないんでないのって感じだ。幽閉じゃないのー!

  程なくし、両親は事故で他界。アナとエルサだけになってしまう。エルサは相変わらず閉じ籠り、アナは独り寂しく暮らす。ある日エルサは成人し王国を継ぐ女王となる。その日のパーティで予感は的中。アナと喧嘩になり隠し抜いた魔法が露呈し人々を傷つけそうになる。エルサは山に逃げて、恐れず自分らしく独りで生きて行こうと決意する。

  妹のアナはとても可愛い。元気が良くお喋りで優しくドジでどこにでもいそうな女の子を神田沙也加がかなり上手く演じている。アナってとても可愛い。こんな子がいたら大抵の男は好きになると思う。屈託無く可愛いんだとにかく。

  その日に出会った男と結婚する事になり、城にその男を住まわせようとし、エルサの反対を受けて喧嘩になる。エルサが逃げ出し山で本当の自分を曝け出すとき歌うのがあの有名なlet it goである。確かに凄く良い歌で耳に残るし、松たか子もかなり上手くて、このキャストは適役であった。

  エルサを探しに山を登るアナ。途中出会ったクリストフの力を借り、エルサに会いに行くも、アナを傷つけるのを恐れ、アナを押し返す。そうエルサみたいな性格はね、ちょっと強引なアナみたいな子がいるととても嬉しかったりするのだ。

  このシーン前に出会うのが陽気な雪だるまオラフ。こいつかなり可愛い。雪だるまの癖に夏に憧れてる。声はちょっとキモいけどこの物語を和ませてくれるキャラだ。

  エルサの魔法で凍りついてしまいそうになるアナ。真実の愛が魔法を溶かすときき、婚約者の元へ帰るも、婚約者はとてもイヤなヤツで、政略結婚を狙った王子であった。魔法は溶けず、クリストフの想いに気づくも、エルサが王子に殺されそうなのを助けに入り、氷ってしまう。エルサは泣いて魔法が溶け、真実の姉妹愛でアナは元通り。エルサは魔法の溶かし方もわかり、ハッピーエンドに。勿論アナとクリストフはくっつく。夢あるストーリーで面白かった。

  ちょっと泣きそうになったのが、エルサがあたしに似てるなぁと思った事だ。エルサは魔法の力で人を傷つけるのを恐れ、篭った。あたしは人とコミュニケーションとるの苦手だし傷つけられるのが嫌だし、自分を偽るのも嫌だから、友達もつくらない。職場の人にエルサに似てるって言われてピンとこなかったけど、そういう事かーと。でもエルサが独りでも自由に生きていくというのを選んで、その生き生きした歌を自分の事のように嬉しく思えた。でもアナみたいな存在がエルサには必要だと思う。そうしなければエルサは一生独りでいただろう。

  この映画は色々言われてきた。時には女の子に媚びた映画だとか、全時代的な女という偶像を求めて退化したとかなんとか。またある時は自分を失った妻たちがこれを観て、自分を取り戻す!とエルサになったり。あたしがこの映画から得たものは大分違う。


  これは更に進化した女性像というか、現代の女性の悩みを上手く捉えてるなぁと。まず恋愛要素の少なさに嬉しさを覚えた。女の子ターゲットなら相変わらず素敵なナイトを出しておけばいい。でもアナの氷を溶かしたのは、愛する人のキスではなく、アナを想う姉エルサの気持ちだったのだ。もうキスして魔法が溶けるなんて古い古い。描かれているのは異性愛だけじゃなく、家族愛もあるのだ。

  そしてエルサの悩みは、結構人の悩みと似てるものがある。他人がいる事でありのまま居られない事は多々あり、人間悩みのほとんどは人間関係、対人関係だったりする。人と上手くいかないから篭ってしまうというエルサは、最後恐れず自分らしさを出して、人と上手くやっていけるようになった。こういうのが人の心に響いてヒットしたのではないか。

  そして独り生きると最初に決意したエルサの姿は、男性に頼ったり異性を愛するというある種の女の子の理想の物語を否定している。否定というと強い響きだけど、否定というより、従来、素敵な王子様を求める女の子のストーリーから、恋愛の悩み、それらを捨てて、現代の女性により近い女性像になったと思うのだ。女性の生き方は多様化した。別に結婚するのが全てでもないし、結婚して縛られる位ならありのまま生きた方が良い。というのは現代の女性の悩みを消し去って行くような気がする。焦って生きるより、ありのまま生きて行こうと。そういうメッセージなんじゃないかと思ったら感動してしまった。勿論アナの助けもあったし、人は独りでは生きられない。しかし登場したクリストフが安易に似たもののエルサとくっついたりはしなかったし、アナの恋愛は描かれていても、アナを救ったのは姉妹愛である。異性愛とか、恋愛は二の次になったのではないかと。女がいつも恋愛の事を考えていると思ったら大間違いだ。恋愛の事を考えたりもするけど、自分のこの先の生き方に常に迷っている。そういうリアルさが描かれていたからヒットしたのではないかと思う。

  男の子が主役の映画に恋愛要素は薄い。冒険や勇気が主なテーマだったりする。それと同じように、恋愛も女の子にとっては主なテーマだけど、多様化する生き方の中、女はどう生きるか、もまた女の子のテーマなのだ。エルサの独りで生きて行く決心は、従来の女の子、素敵な王子様を否定し、独りでありのまま自由に生きて行く事を選んだ。それがとても良かったと思う。確かにこれは女の子の映画なのかもしれない。時代を反映させてか、それとも新しい女性像を作りたかったからこういうストーリーになったかは分からないけど、女の子が憧れるお姫様がテーマでもここまで違う。これを観た女の子たちがどうか、自分がどう生きるのか今後支えになる映画であれば良いと思う。

  あたしの解釈ではあるけれど、アナと雪の女王はそういう見方でとても新鮮に観られたし、面白かった。