一念発起 - 廃園跡地

今日は美容院へ行った。あたしは美容院が嫌いで、好きな人の気持ちが理解出来ない程嫌いだ。嫌いな理由は幾つかある。

美容師さんに、今日何処かお出掛けですか？と尋ねられるけど、だいたい美容院で一日潰れとるわと思う。拘束時間長過ぎる。
鏡にうつる自分の醜さを直視出来ない、したくない。
お喋りが鬱陶しい。癒されに来てるのに、矢鱈に話しかけられて、こちらも気を使い過ぎて疲れる。
毎度仕事の事を聞かれたり、話題もないのに無理矢理会話するのが疲れる。
男の美容師にはだいたいヘンな髪型にされる。
これだけ我慢した割に納得のいく髪型になれる確率が高くない。

とまぁ上げればきりがない。なので美容院には極力行きたくない。本当は自分で切りたいけど、黒柳徹子みたいになった事があるのでトラウマ。剛毛で量が多く硬い髪は伸び放題。今回仕方なく美容院へ。

昔から良く行く行きつけは全然予約がとれないので、今日仕事場の近くで良い口コミしかない、かえって不安なお店に行ってきた。

立地は駅から近いけど、人通りの少ない道にあり、外観、店内はナチュラルで綺麗で可愛い。カフェまで併設されてる。そしてそこはお子様連れOKな珍しい店だ。これだけでどこの店かわかってしまいそうだ。

最近めっきり人と話してないので、今日も美容師さんが近距離パワー型の勢いで話しかけてきて、あたしは仗助に話しかけられた吉良吉影宜しく挙動不審になってしまった。美容師さんも変な顔をしてたと思う。

ギクシャクしながら案内された席に座り、カウンセリング。大まかなイメージはあるもののカラーで悩む。今までブリーチし放題、赤にしたり、金のメッシュを入れて遊んだり、ブリーチした髪に枯れたピンクを入れたりして遊んできたけれど、そろそろ大人だしと無難な色を考える。でもあれだけ派手に遊んで来たので今更ブラウンでは何か物足りない。本当はブリーチしたいよぉーーー！蛍光オレンジにグリーン、パープルやネイビー。カラフルにしたい。

あたしの言葉足らずな抽象的なイメージにも美容師さんは辛抱強く付き合ってくれて、やっぱりオレンジなブラウン、と決まった。髪をカットし、カラーを入れる。その後流すのだけど、普通の水か、炭酸水が選べる。炭酸水は1000円もするので迷うも、経験と思って炭酸水を選んで見た。

横になり美容師さんがカラー剤をお湯で落とし、シャンプーをしてくれる。そしていよいよ炭酸水のお出ましだ。目の上に置かれた布で炭酸水の全貌は分からないが、キャスターに乗って連れてくる様な音がして、歯医者みたいだなと思った。

美容師さんが炭酸水を髪にかける。あたしの予想では三ツ矢サイダーだ。三ツ矢サイダーの様な細かな泡が心地よさを誘うのではないかと期待した。炭酸水は、ジャクジーだった。頭皮に直接ジャクジーを当ててるようで奇妙な感覚で、取り立てて気持ち良くもないし、こそばゆいしで、シャンプーされながら独りニヤニヤしてしまった。おいおい全然良くないぜ。口コミにも炭酸水気持ち良いとか書いてあったのに。美容師さんは親の仇の様に炭酸水をあたしの頭皮に当てがった。

「こうすると頭皮の汚れがしっかり落ちるんですよ」

汚れの前に頭皮が落ちてしまいそうだ。結構刺激が強い。ハゲてて血行を良くしたい人には朗報だ。汚れが落ち過ぎても良くないのでは？？炭酸水のお湯でガンガン頭皮の毛穴をほじり過ぎると、全ての油分が飛んで乾燥しそうだ。

なんたか炭酸水が終わった。多分もうやらない。なんか良くわからなかった。髪を乾かせば、ブラウンのカラーが鮮明に出て綺麗になった。こんな風にカラーを入れても、髪質的にすぐ落ちてしまうのだけど。

美容師さんにはもしかしたらあたしは失礼な事を言ったかもしれない。余りに話す事がないのと、夜勤明けで頭が働いてなくて。でもその美容師さんはサバサバしてたし、話し掛けなくても、もくもくと作業してくれた。こちらがコミュ障だと理解してくれたみたいに。

あたしの職場の近くには美容院が乱立している。言わば激戦区。そこではもう数件美容院に通ってる。通って、満足行った場所はない。都心で人気の場所なのに、満足いく接客とカットを出来た美容師はいなかった。男の美容師は横柄で、初対面の客にもアーティストだかなんだか知らんがタメ口。キモチワルイヤローだった。腕もない癖に。

でも女性の美容師さんはちゃんと敬語だし嫌な感じがしない。そして今日の美容師さんは余りうるさくないしダラダラ話さないし、サバサバしてたのでなかなか良かった。店内も綺麗だし、初めてまた行こうかなと思える美容院が見つかった。良かった。

まぁ髪型の様子見てからかな。しかしブラウンてのは、本当変わり映えしない。髪で遊ぶのが当たり前だったしなぁ。まぁとりあえず今日ブラウンです。