廃園跡地

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女はみんな生きている


  女はみんな生きているを観た。面白かった!スペイン映画かと思ったらフランス映画でした。フランス映画っぽいしっとりした感じは一切ない。展開、場面転換、カメラワーク、BGM、全てが忙しない。集中して見ないとワケがわからなくなってしまう。

  普通の主婦エレーヌはある日暴行されている娼婦に出会い、気になってしまう。エレーヌの行動から2人の人生は変わっていく。

  監督はコリーヌセロー。女性。うん、女性にしか撮れない映画だなぁと思った。これが男性に撮れたとしたら、どんな人かと思っちゃう。全体的にはコメディ調でラストもスカッとさせてくれる。個人的にはゴミゴミしてて少し長いかなとも思ったけど。登場人物で色んな年代の女性の生き様が描かれていると思う。そして、正しくあたしが思ってる様な事を、いや世界中の女性が思っている様な事をノエミが言ってくれて嬉しかった。

  これを分かってくれる男性こそが素晴らしい男性だと思う。男の人なら、どんな気持ちでこの映画を観るのだろうか。単なるコメディだと思うのか。どんな気持ちで観るのか、根底にあるテーマも読み取ってくれるのか、あたしにはわからない。

  ノエミが言った台詞で単にイスラム世界の女性の地位の話だとしか思えないとしたら、お馬鹿さんだと思う。イスラム世界だけじゃない、不当に性を踏みにじったり、力でねじ伏せられている女性がいる限り、女性が男性と平等だとは思えない。

  軽いタッチで描かれてて娯楽として観る程度が良いのかもしれない。根底のテーマを思ったら、あたしはやっぱり考えてしまう。しかし作中の男で素敵な男は1人もいなかった、ロクデナシばかりであるが、それが逆に潔い。

  魅力的なノエミの存在感が強かったかもしれないけど、あたしはエレーヌが好き。何のメリットもないのに、ノエミを一生懸命看病する所とか。何気に綺麗な女優さんだ。そしてラストのシーンは其々幸せを手にした、胸のすくシーンであったけど、エレーヌもまた幸せになれたのだろうか。ロクでもない夫でも、夫は夫。寝取られてるけど何も感じないくらいどうでも良いのか。この映画のラストに男の姿はない。男と愛し合う事だけが幸せではないと、教えてくれているし、出てくる女性達は男に裏切られ続けた結果のラストなのだから、当たり前だろう。

  女が強い訳じゃない。男よりは強いかもしれないけど。女は支え合う事を知っているから強いのかも知れない。

  どうして女に生まれたばかりに、踏み躙られたり馬鹿にされるのだろうと女なら一度は考えた事があると思う。だってそうだ。蔑んで見られたり、値踏みする様に見られたり、うんざりする事がたくさんある。それがどれ程悔しい事なのか、分からない人が多いのだろう。でもこういう映画に出会える時あたしは、女である一体感を感じられるし、楽しめる。素敵な一本だった。