廃園跡地

言いたい事を言いたいまま!

反吐の出る子ども時代


  日本人は学生時代だとか青春を妙に大事にする。多分海外ではそんなにないように思う。日本人男性にロリコンの気があるのは、学生時代の記憶を美化しているから、セーラー服だとか制服が人気なんじゃないかって思う。総じて幼い国民性に思える。


  若いだけで価値があるし、自分が1番輝いていた時期だから、或いは、学生時代、青春とは無縁だったから、憧れるのか。


  あたしは子どもの時代が素晴らしいなんてこれっぽっちも思えない。あんな不自由で、自分の意思で何処へも行けない、弱くて小さい時代。子どもの頃の嫌な思い出はたくさんある。

  運動音痴で、鬼ごっこの時はいつも鬼にされてた。捕まえられなくてずっと鬼。いじめられていたわけではないけど。友達が他の子の悪口を言ってるのを見て、あの子の様にすると悪口を言われるんだと思って、目立たない様にした。人を笑わせる様におどけると、皆笑うし、あたしに酷いことはしてこなかった。そういうポジションでいれば大丈夫だと思った。

  友達に唆され、物を盗んで叱られた。そんな事したくなかったのに、逆らえば虐められると思ったから。1度だけ靴に画鋲が入っていて、怪我をしたのを覚えてる。すごくショックだった。そういう事をする奴、今なら、どんなことをしていてもターゲットになる時はなるし、陰湿な奴だと思うだけだ。大人になればそんなクダラナイ事も減るし、どう対応して良いかわかる。

  あたしは自分の時間を大切にしたかった。人に干渉されるのを既に小学生の低学年から嫌っていた。でも毎週遊ばないといけない友達がいた。彼女は何でも知っていたし、独占欲が強く、ジャイアンみたいな子だった。高校生になると、彼女が男をたくさん侍らせて歩いてるのを見かけた。可愛い顔だったけど、品のない人だった。


  他の子とも遊ぶ様になった。うちはお小遣いもないし、買い食いも禁止されてたし、門限も厳しかった。祖父母と暮らしてたし、厳しい家庭だった。今となれば、親がそう躾けてくれた事に感謝するし、理解出来る。共働きの子が多かったので、他の子は夜まで遊んでた。あたしはいつも途中で帰るのだけど、翌日話題についていけないことは多々あった。

  それだけじゃない。夜は就寝が20時なので、友達が見る様なドラマやアイドルの話題なんて知らなかった。家で家族がつけるチャンネルの権利は祖父が持ってたし、大抵野球か、ついててバカ殿くらいだ。それも話題からはぶかれる事の原因だった。でも大人になればわかる。話に入れなくても、しゅんとする事はないし、逆にどんな話か聞けば話題も広がる。

  お小遣いも買い食いも出来なくて、つまらないと言われた事もあったし、嫌われるのが怖くて良い顔をしてたら、意味を知ってか知らずか、人が良いなんて言われた。

  友達はよく買い食いをした。近所にまだ駄菓子屋があった頃、これ美味しいよねって色んなお菓子を買ってた。お菓子を与えて貰える事が少ないので、どれが美味しいかなんて知らない。彼女はいつもニンニクの効いたチップスを食べていた。きっと今頃立派な酒飲みになってるだろう。ニンニク臭い息で話す。あたしは無心にお菓子を貪る彼女と、その食べっぷりや、食べ方、臭い、それらを未だに思い出し、顔も同じく下品だなと良く思う。あんなおっさんみたいな生き方なんてしなくても良いのに。まだ可憐な時期だったのに。

  高学年になり、図書委員になってから読書をする様になった。本が面白くて、自分の世界で、誰も邪魔してこない。それからは教室の隅で休み時間読書する様になった。クラスメイトはあたしを変な奴と思ったと思う。哲学かぶれになって、人に難しい事を質問しては嫌な顔をされた。何で人間ってこうなの?疑問が絶えなかったけど、それを何故なのか、自分なりに考察して、答えを導き出す時間が楽しかった。大人になった今、わからないことはあまりないし、答えが正しくなくとも、経験から簡単に推察出来る。日常で経験してないことは、だいぶないと思う。それが、大人になってつまらないと思える事の一つかもしれない。

  人の掌返しをたくさん見てきたし、人に依存的なのですぐ許して、また傷つく。友達にハブられても、また仲良くする、の連続だった。その頃から今も依存的なのだけはなかなか治らない。

  高校生になって、クラスでイジメが起きた時、ウンザリした。高校生にもなってイジメなんて。いじめる奴は余程青春が楽しくないらしい。イジメなんて下らん事してないで、楽しいコト探しなさいよ。青春思い出して、若くて1番輝いてる時の思い出が人をイジメてた、なんて、人生の1番良い時期なのに、無駄にしてる。そんな下らん事に労力使わないで、社会人になったら、纏まった時間もなかなか手に入らないのだから、趣味や部活に勤しみなさいよと思う。軽音始めても良いし、たくさんの良い本や言葉に出会え、視野が広がり、独創性が増す時期なのに。

  電車とかで子どもに出くわすと、たまに子ども特有の臭いがする。砂埃と汗が混じった様な臭いと、甘ったるい、口から吐かれる噛み砕かれたガムの臭い。あたしはそれを嗅ぐと、いつも子どもの頃、駄菓子屋付近でたむろして、ニンニクチップス食べてたあの子の事とか、駄菓子を食べる友達の事、臭い、クチャクチャ音を立てて、咀嚼音を出して食べてる光景を思い出す。まるで豚みたい。


  それを友達ヅラして内心ではため息ついて、品がないとか、汚らしいとか、なんで付き合わないといけないとか、苦痛を中に押し込めていた時の事を思い出す。あの子ども特有の臭い。汚い臭い。アレが嫌い。あの臭いがする子は下品だ。自分が上品とは思わなくても、子どもの頃から大人の真似事するなんて、馬鹿みたい。なりたくなくても、大人にならないといけないのに。


  あたしは性格悪い子だったとは思うけど、あんな豚みたいに臭い臭いの菓子を貪りなんてしなかった。だから子どもの時代を思い出すと反吐が出る。