廃園跡地

言いたい事を言いたいまま!

妻と母

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  この前知り合いのお父さんが亡くなった。彼は癌で、前々から様子がおかしかったらしい。定期検査の時も様子がおかしかったので、医者が気づけた筈なのだ。数ヶ月後にはお腹に水がたまり、病院に行って癌が発覚。末期だった。これは医療ミスと言えるのか。でも何の治療もしておらず、見落としになるわけで、見つけにくい場所の癌なら尚更だし、医療の世界でそういう事は日常的にあるのだと思う。お医者様だって神様ではないし、見落としもあるだろう。でも家族からしたらやり切れない思いであろう。


  余命宣告される程進んでいて、抗癌剤も合わず、高額な治療を選択した。それも治るか治らないかは運であり、カケであり、博打である。娘の彼女はしんみりと言っていた。命もお金なんだね、って。


  彼女の父は自宅に帰る事になった。彼女からその話を度々聞いていて、彼女の父は食事を摂る気力もなく日々眠っていて、時々呻き声をあげるのだという。彼女の母は旦那を毎晩寝ずに見ていた。それら全てが痛々しくて見ていられないと彼女は言った。病は気からというが正しくそうだ。治そうという気力さえあれば、もう少し長く生きられたかもしれない。癌と聞いた時点で諦めてしまったのかもしれない。闘う覚悟を決めなければ家族までもが辛い。

  彼女の母は気が強い人だそうだが今回ばかりは項垂れていたらしい。そして2人ともなんて声をかけていいかわからなかったらしい。うちの母は、認知症を患ってる祖母にもいつも一生懸命話し掛ける。認知症は治らない。けれど理解出来なくても、義母にも、自分の親にも同じ様に話し掛ける。あたしの母は、掃除も出来ないし、料理もあまり作らないし、TVばかり見てるし、すぐ腹をたて、子どもみたいにむくれるし、本当ダメな人だと思ってた。父は何で母と結婚したんだろう、とずっと思ってた。父は父で色々抱えてはいるけど。

  でもあたしは、父が母を選んだのは正解だったんだなぁと最近思う。父の親の面倒だって最後までみたし、優しい人だし、何より父が病気になってもきっとずっとずっと話し掛けると思うのだ。話しかけられた祖母達は、何も応えない日の方が多いけど、きっと通じていると思う。昔からそうだ。うちの母は優しい人だ。優しくて礼儀正しくて、自慢の祖母の教育が行き渡った人だ。母は、父の妻で良かったし、あたしの母で良かった