つまらない映画:アレックス

  アレックスという映画を観た。これ話題になったやつなのか…知らなかった…以下ネタバレ有り

  構成はメメントの様なストーリーを遡る形になっている。婚約者をレイプされた男がゲイクラブに復讐に行く、というストーリーを逆行していく。ストーリーとしては、復讐→事件→幸せだった日常という形で終わる。レイプシーンはどんな映画を観ても悲惨に思えるのはあたしが女だからだろうと思う。

  この映画の伝えたかったことは、覆水盆に返らず、時間は巻き戻せないといった事らしい。突然悲劇は起こるのだ、と。構成としては素晴らしいけど、主人公の心理描写をしたカメラワークは見辛い。勿論早送りで観た。またこの映画の言いたいことは、時は戻せない、どんなに後悔しても、というテーマだったとしても、突っ込まざる得ない。あんな格好で夜歩いてたらあの様な目に遭いますよ、と。レイプを題材にされてしまうと、悲惨さのテーマでは群を抜いているけど、テーマがブレてしまうように思う。

  時は戻せない、よりレイプは悲惨というメッセージに主題が置かれる。時は戻せないというメッセージならば、喧嘩した家族が急に亡くなったとかそういうのでも良いわけで。レイプを扱うと、それに関しての話になるし、ブレてしまってるように思う。レイプの被害者は、被害に遭ってから多くの後悔をしてるし、自責の念に駆られているのもよくわかるけど、やっぱりあんな格好で夜歩いてたら…結局自業自得に思えて、共感も薄れる。それにアレックスの人となりが、進まなければ分からないので、更に共感しづらくなる。特に異性にとっては。

  それにこの映画は、時間は巻き戻せないというのがテーマであれば、もっと後味悪くする方法があった。時間を遡るよりも、時間通りに進行した方が後味の悪さは残る。映画の後半ではもうレイプの衝撃も薄れ、幸せなカップルが描かれてそれで終わってしまってるし、そういう進行であると見ていて錯覚してしまう。それに、レイプされたその後の2人の生き方も描かれてない為、それだけで終わってしまっている。時間が巻き戻せないというテーマであれば、その事件に付随して変わってしまう2人の関係も描けばより一層、深みがあるように思えるのだけど。

  時間は巻き戻せないがテーマで、レイプを扱うなら、被害者が語り部になって、その事件の前後を扱うのでも良かったと思うし、中途半端な仕上がりになってると思う。とりあえず見て損も得もないし、心に残るものも何もない。時間が無駄になっただけである。

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