旅行の朝
めっきり秋めいてきた。それともまたあたしの期待を裏切って夏に逆戻りするのか。秋はどんな人にも過ごしやすい季節だ。
さっきジュースを買いに外へ出たけど、涼しくて気持ち良い朝だった。空模様も心なしか天が高い気がする。冷えた空気を吸うと、思い出した。
旅行に行くと夏であろうと、大抵この冷えた空気な気がした。冷えてなくても、暑くない湿った空気だ。夏に旅行に行くと避暑地だからなのか、標高が高い場所だからなのか、兎に角都会とは違った空気だ。
思い出されるのは朝食。ご飯と味噌汁。焼き鮭と納豆。どこにでもある朝食で、松屋でだって食べられるものなのに、何故かとても新鮮なのだ。自分が炊いたのとは明らかに違う固さのご飯は熱すぎず、冷えすぎていない。納豆だって、多分どこにでも売ってるもので、代わり映えなんてしていないはずだし、鮭だってどこ産の鮭かわからない。もしかしたら食材が全て一流なのかもしれないけど、兎に角朝食はとてもとても美味しい。
家でこのクォリティとなるとなかなか面倒臭い。どこにでもある素材なのに、特別な味がする。だからホテルとか民宿の朝食はとても好きだ。夕飯が豪華で美味しいのは当たり前で、その地で各々美味しいものが出て来るし、期待値が高い分、微妙なものが出るとすぐにわかってしまうのだけど、朝食だけはだいたいどこも同じなのだ。
