廃園跡地

言いたい事を言いたいまま!

American Beauty.


  映画アメリカン・ビューティを観た。確かアカデミー賞を受賞してたので、すごく面白いものだと思ってワカテカして観た。TSUTAYAにはドラマの棚に置いてあったので、感動するのだと思った。あらすじを読んで、きっとうだつの上がらない主人公が恋愛をして自分を変えていくサクセスストーリーと思っていた。以下ネタバレバレ








  難解な映画であったwww
アカデミー賞が受賞出来るのは、エンターテイメントとして成功した映画か、時代を描ききった作品だ。アメリカン・ビューティは99年の映画で、アメリカの終焉を描いたモノらしい。アメリカの終焉なんて多分20年前以上前から言われてたからピンと来ないのだけど。決定的な終焉と言われればリーマンショックとかなんだろうか。

  そもそもアカデミー賞自体、投票する監督達?の人種比率も均等ではないので、偏った投票になるとかならないとか。

  全体的に溌剌としない一家の物語で、ありがちな、今の自分に満足出来ていない。そういう日常ってこびりついた汚れと同じだ。少しづつ凝り固まって、身動き出来なくなって、どうしようもなくなる。

  冴えない中年のレスター。ヒステリック?な妻。反抗的な娘。冴えない中年をケビン・スペイシーが演じてるけど本当に冴えないwww
そんなレスターがある日娘の友達アンジェラにメロメロに。肉体改造をし始め、好き勝手に自分の人生を生き始める。この辺のはっちゃけは面白かった。冴えない主人公がヤケになったかの様にやりたいようにやり始めるのは気持ちが良い。

  レスターが恋したアンジェラはとんでもない女。自分が美しいと宣い、どんな男とヤッたとかヤるとかファックの話ばかり。アメリカの典型的なティーンエイジャーは本当にこんななんだろうか。日本で言えばリア充とかDQNなのか。

  この物語でマトモそうに見えるのは娘のジェーンと彼氏のリッキーだけだ。彼氏のリッキーはちょっと変わってるけど、こういう静かで感受性が豊かな人は好きだ。リッキーが自分は特別で美しいと思ってるアンジェラを無視してジェーンの事を美しいと思ってるのは面白いシーンだなと思った。それと相反する様に、レスターはアンジェラを美しいと思ってるし、美の価値観はこんなにも違うのだ。

  ヒステリックな奥さんキャロラインは、同業者の男と不倫を。仕事人間だと不満が出るし、うだつが上がらず昼行灯みたいな男でも不満が出るのだ、女ってもんは。本当は多分自分に構って欲しかったのだろうと思う。女はいつだってそう思っている。この奥さんは鬱陶しい騒がしい女だけど、幸せになりたくてもがいているのも伝わってきた。夫婦のズレが生じたとすれば、恐らくレスターの気持ちに段々キャロラインが応えなくなり、魅力を失うレスターにうんざりしてしまったんだろう。そりゃ最後のチャンスと言える2人きりのシーンでソファーの事なんか気にしたら終わりだ。あれで決定打だったのだろう。あそこで2人が上手く行ってれば…。

レスターとリッキーが仲良いシーンはなんか良かった。

  アメリカン・ビューティには不思議なシーンが盛り沢山。Qと解釈を。

Q.リッキーの親父はあんなにゲイを嫌ってたのに何故レスターにキスしたのか?

これが良く分からなくて、ネットで色々見たけど、自身のゲイの部分を隠していて、曝け出せなかった。だから嫌っていた、嫌う事で隠していたのでは??でもレスターの事を知り、自分の気持ちに応えてくれるかもしれないと思い曝け出した。しかし誤解だった為、あんなラストに。

Q.アンジェラは本当に処女だったのか?

  なかなかビックリする告白だった。ファックファック言って、経験豊富な自分を演出してたけど、そんなあの娘は生娘だった。虚勢を張ってたのだろうと思う。そういう子って案外居るよね。自分を強く見せちゃうけど本当は弱い。自分より下?に思ってたジェーンに彼氏が出来て焦ってしまったのもあるのかも。

Q.何でレスターはアンジェラを抱かなかったのか?

色々考えたけど、アンジェラの告白を聞いて多分、レスターは色々過ったのだろうと思う。弱い部分を見て、年相応の娘に感じられたり、本当に若く美しく、まだ真っ白だからこそ、自分には勿体無いと思ったのかもしれない。その後、娘に接するように会話をしていて、恋心は覚め、娘と同じ女の子だと感じるようになったのだろう。最初は幻想を抱いていたのだろう。でも大人としては正しい反応に思える。

  色々紆余曲折あったけど、あと少しでバーナム家は幸せになれたと思う。多分あそこからレスターはもう一度妻とやり直そうと思ったハズなのだ。アメリカの病理みたいなのを描いてあんなラストになってしまった。面白かったけど、もう一度観たいかと問われると、もう一度観たいと思うエンターテイメント作品ではない。

  それにしてもドラマとか感動系の棚に置かないでくれ…全然感動しなかったよ…。



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