未来。

  夏休みが始まったせいか、電車で親子連れを多く見かける。昨日も電車に乗りながら周りを見渡すと、親子連れでも親は携帯をいじっていた。子どもは構って欲しそうに何か言ったけど、親は一瞥し、適当な相槌を打っただけで、あたしも子ども動揺どんよりとした気分になった。

  前にも書いたけど、目の前の人をないがしろにして、電子の先の人とコミュニケーションをとるなんて、本末転倒ではないだろうか。目の前の人を大事に出来ない人が、どんな人に大事にして貰えるだろうか。

  今までのコミュニケーションが古臭くなってそのうち、今のが主流になっていんだろうか。話しかけても、目線も合わせず相槌しか帰ってこないなら、そんなもん、ロボットと話してるのと変わらない。

  革新的な技術は生活を便利にはする。するけど、人間は多分段々退化している。いや進化とも言えるけど、良い進化とは思えない。きっとそのうち、人と喋ることも減るから、声が段々出なくなったり、語彙がすくなくなって、声を発して少ない記号的な声で最低限のコミュニケーションをとるようになるかもしれない。

  ずっと携帯を見てるから、目だけは大きくなるかもしれない。携帯を見てるから、耳も良くなって大きくなって障害物を除け易くなるかもしれない。個人化が進み、異性とも交際しなくなり、生殖器が衰えるか物凄く進化するかもしれない。もし人類が生きる気があれば、或いは絶滅がそんなに早くなければ進化するかもしれない。そしたら雌雄同体になるかもしれない。他人なんて必要なくなるかも。まぁ雌雄同体はあり得ないにしても繁殖力が強くなるかもしれない。或いは死に対して強くなるかもしれない。でも自然界で強敵がいるから、種を残したくて進化するのとはワケが違うから、生殖器に関してはこのままで、緩やかに絶滅に向かうかもしれない。人類はバカではないから、何処かで少子化対策をするだろうけど。

  人間は無駄な事をしてきた。便利になる為、良い暮らしをする為。別に働かなくても、紙幣経済でなくても、畑を耕し物々交換で生活出来た。便利な生活を得る為に仕事に精を出し死んだとしても、人生の殆どが仕事だなんて。人間は折角考える脳を持ってるのに、思考にも耽らず消費して死ぬなんて。何だか違う気がする。

  死ぬ程働いたり、情報化とか、高速化しなければ、昔はのんびり待っただけなのに。今はせかせかして疲れてるから、その疲れを癒す設備が整ってる。なんか馬鹿みたい。疲れなければそんなもんいらなかったわけで。それと同じで、そのうち携帯でコミュニケーションとりまくって、コミュ障が増えて、コミュニケーションを目的とした商業が出てくるんだろう。もう既にそういうのもあるだろうけど。

  何で人間は、群れて暮らしてきたのだろう。いや殆どの動物は群れて暮らしてるけど。動物が繁殖して命を紡いでいくのが仕事ならやっぱり雌雄が一緒に居た方が良いからか、強敵から身を守る為か。人間は何で言葉が発達したんだろう。二足歩行して、頭部が上に来て、偶然喋れる様になったんだろうか。頭が発達したから言葉を編み出したんだろうか。最初は狩りの為とか生きる為の言葉が、そのうち意味を持ち始め、文明を作ったのだと思うけど、相手へ投げかける言葉に責任を持たなくなったり、言葉を蔑ろにしたら、それは文明を冒涜してるんじゃないだろうか。文明の恩恵に預かってるのに。相手の事を知ろうとか、どんな事考えてるとか、顔を見て知ろうとしなければ、相手なんて必要なくなるだろう。コミュニケーションなんて必要なくなるだろう。個人化を皆が望んでいるのだから、それも仕方ない。都合の良い時だけ、喜びとか悲しみだけ共有して泣ければ良いのかな。それは都合良くないか。自分は相手に何をしてあげてる？何で相手から笑顔だけ貰おうとするのだろう。何気ない日常のやりとりの積み重ねが信頼を作ってく。人間はロボットじゃないから、自分の都合だけ押し通すのは間違いだ。

  そのうち人は、言葉なんて話さなくなるかもしれない。必要ないから。